私たちがフジカリン(無水リン酸水素カルシウム)を紹介する際、従来品の印象から臼杵への摩耗性を心配されるケースがあります。しかし、フジカリンは独自開発の製法により優れた成形性を持ち、臼杵への摩耗リスクは極めて低くなっています。
フジカリンの成形性-他直打用賦形剤との比較
フジカリンはスプレードライ法で造粒され、その内部にはカードハウス構造による空隙をもち、圧縮成型時には容易に潰れます。この構造により、低圧でも硬度が上がり、さらに、従来品で懸念された摩耗のリスクは大きく低減されています。他の直打用賦形剤と比較した結果を示します。
検討処方
成分 | フジカリン処方 | 従来品処方 | 結晶乳糖処方 |
フジカリン | 75.5% | - | - |
従来品 | - | 75.5% | - |
結晶乳糖 | - | - | 75.5% |
結晶セルロース | 20.0% | 20.0% | 20.0% |
コーンスターチ | 4.0% | 4.0% | 4.0% |
Mg-St | 0.5% | 0.5% | 0.5% |
結果(成形性)
硬度50Nを得るのに必要な成形圧は、フジカリン処方が約3.5kNであるのに対し、従来品処方は約9.5kN、結晶乳糖処方は約17.5kNであった。
硬度100Nの場合は、フジカリン処方は約6.5kN、従来品処方は約19kNを要した(結晶乳糖処方はデータなし)。
フジカリン処方の場合、打錠時の臼杵に対する負荷を小さくする事が可能と推測される。
硬度100Nの場合は、フジカリン処方は約6.5kN、従来品処方は約19kNを要した(結晶乳糖処方はデータなし)。
フジカリン処方の場合、打錠時の臼杵に対する負荷を小さくする事が可能と推測される。
結果(空隙率)
硬度100Nに対応する成形圧における空隙率を錠剤容積、真密度から計算すると、フジカリン処方(成形圧 約6.5kN)では48.8%、従来品処方(成形圧 約19kN)では30.2%となり大きな差が認められた。フジカリン処方ではクッション性が高く摩耗に関して優位性が示唆された。
フジカリンの摩耗性評価
ロータリー打錠機による長時間同一条件下での打錠を行い、臼杵、ターンテーブル等の摩耗状況や錠剤の外観を確認しました。
条件
- 処方:フジカリンSG 99%、ステアリン酸マグネシウム 1%
- 回転数:50rpm
- 打錠圧:650kg
- ロータリー式打錠機による連続打錠実験
- 18本立て実験機使用
- 50rpm、12時間の連続打錠
- 杵1本あたり36,000錠分
結果
- 実験期間中の重量調整、杵のクリアランス設定等、打錠条件は変更せずに打錠を終了出来た。
- 杵の摺動部、エッジ部、メッキ表面、臼、ターンテーブル等に損傷、摩耗は全く認められなかった。
- 錠剤R面の斑点や汚れも認められなかった。
摩耗性評価(イニシャルとの比較)