ノイシリンは油状物質の吸着粉末化が可能です。JISの顔料試験では、普通タイプで自重の1.3~1.5倍、US2やUFL2で自重の約3倍のオイルを吸着可能です。ここでは、ノイシリンの吸油能力や使用例について紹介します。
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ノイシリンの吸油能力
JIS K5101(顔料試験法)の結果、ノイシリンの各グレードの吸油量は以下の通りとなります。
グレード | 吸油能力 |
ノイシリン普通品 | 1.3-1.5mL/g |
ノイシリンUS2/UFL2 | 2.7-3.4mL/g |
ノイシリンNS2N/NFL2N | 2.0-2.4mL/g |
ノイシリンA | 1.05mL/g |
最も吸油能力が高いのはノイシリンUS2、UFL2となります。吸油を目的とした場合、この2つのグレードを優先的にご検討下さい。ノイシリンUS2はスプレードライ品となり、UFL2はUS2を粉砕したグレードとなります。
参考事例:US2を用いたシリコンオイルの吸着粉末化(動画)
吸着粉末化剤としての利用
オイル、エキスなどの液状物やワックスなどの低融点物質は製剤時の取り扱いが困難ですが、ノイシリンUFL2、US2に吸着させ粉末化することにより、カプセル充填や直接打錠などの製剤化が非常に容易になります。
ノイシリンUFL2の含水率と安息角
ノイシリンUFL2、US2は自重の200~250%の液体を吸着しても、なお粉末の状態を保ちます。このノイシリンUFL2、US2の吸着能は、極めて大きな比表面積とポーラスな網目状構造によるもので、得られた粉末はオイルの染み出しがなく流動性や成形性にも優れており、散剤、錠剤、カプセル充填用粉末として大変有効です。
卵黄レシチンの粉末化
卵黄レシチン1部をノイシリンUFL2 1部に吸着させると流動性の非常に良い粉末が得られます。
エキス及びオイルの粉末化
ノイシリンUFL2を用いてエキス及びオイルの50%散を作り、これに同重量の粉末乳糖を混合し静的圧縮を行うとき臼や杵への付着性はなく、成形性、杵離れとも良好です。また、エキス、オイルの染み出しは全く見られません。
ロートエキス:25%
粉末乳糖:50%
ノイシリンUFL2:25%
大豆レシチン:25%
粉末乳糖:50%
ノイシリンUFL2:25%
下図は煮アマニ油の吸着粉末化によって得られた粉末の安息角を示したものです。
ノイシリンUS2による酢酸トコフェロール(VE)の吸着粉末化
油状物質吸着の応用例として、酢酸トコフェロール含有錠について紹介します。
酢酸トコフェロール20-50%含む処方を組み、流動層造粒装置にノイシリンUS2を入れ、エタノールで希釈した酢酸トコフェロールを所定量、噴霧、吸着させます。エタノールをとばした後、クロスカルメロースナトリウム、Mg-stを混合して、タブレッティングテスターにて錠剤を作成評価しました。
検討処方
処方 | T-1 | T-2 | T-3 | T-4 | T-5 |
VE(%) | 20 | 25 | 30 | 40 | 50 |
ノイシリンUS2(%) | 76 | 71 | 66 | 56 | 46 |
クロスカルメロースナトリウム | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
Mg-St | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 |
VE/ノイシリンUS2(%) | 26.3 | 35.2 | 45.5 | 71.4 | 108.7 |
吸油後の圧縮圧と錠剤硬度の評価
酢酸トコフェロール20-30%含有錠では、圧縮圧とともに硬度が上昇し、US2単味とほぼ同様の傾向が得られました。成形圧500kgでも錠剤硬度150Kg/cm2を維持し、酢酸トコフェロールの染みだしも認められませんでした。
一方、酢酸トコフェロール40-50%含有錠では、圧縮圧の上昇と共に成形性が低下し、酢酸トコフェロールの染みだしが認められました。
※ 300㎎錠で評価